低温下では雪崩ビーコン・オルトボックスM1の液晶が使えないのか?
先の全国雪崩講習会で、オルトボックスM1の液晶が低温下で正常に機能するのかを確かめた。
低温下におけるアルカリ電池の性能の低下も、ヘッドランプが使えないとか、
無線機が役にたたないとかを私たちは体験的な事実として知っている。
電池の弱点は、雪崩ビーコンが使用する条件によっては機能を発揮しないため、
ビーコンを持っていても著しい性能の低下か、全く役にたたないことを意味している。
全国雪崩講習会は2月11より14日まで、中央アルプス宝剣岳で行った。
寒気の南下とともに、13日早朝から気温は−23度に下がった。
そこで、オルトボックスM1を2台、買い物用のビニールの袋に入れ、30分間外気にさらした。
送信を示す点滅を確認して、もう一台を受信に切り替えた。
しかし、M1の液晶の画面は全く反応しなかった。
液晶の表示はこのような低温下では無理だろうと言われていたから、予想した結果であった。
初日は−9度から−13度まで、体にビーコンを付けて、
時折受信にして先の液晶の表示と電池の性能低下を試してみたが、ビーコンは正常に機能した。
続く北海道の雪崩講習会でも低温下のテストをしてみた。
外気温は−10.5度で、ゴアテックスの防寒着を身につけ、約6時間、
人間の体はひどく寒さを感じたが、検索時間の5分程度の外気のさらしでは液晶表示は正常に機能した。
したがって、−10度位であれば、体に付けたビーコンは通常の検索時間内では正常に機能することがわかった。
オルトボックスM1は、発光ダイオードの替わりに、受信の強度、レンジ切り替え、
距離の表示等を液晶によって表すので、条件の悪い低温下では使えない。
つまり、北アルプスの3000m級の山で、あるいは北海道の山では、M1は使えない場合がある。
(取り扱い説明書には、このビーコンの使用範囲を、−20から+40度としている。)
液晶そのものを凍結させると、再び使い物にならないか、表示が薄くなるから、意味無くテストを試みない事である。
私は2台のM1をダメにしたかと半分諦めたが、1時間30分後に液晶が再表示した。
雪崩講習会代表 中山 建生
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